倉敷市 塾 AEI若竹塾 寺西ブログ#8
2022/10/24
2004年くらいの映画で「アラモ」という歴史映画があります。
1800年代前半の現アメリカテキサス州はメキシコ領でしたが、
結論から言うとメキシコからの独立戦争を戦い、
アメリカへ併合することになりました。
そのときにアラモ砦に立てこもったテキサス側の戦士が、
激戦の末にメキシコ軍に全滅させられるという象徴的な出来事があり、
それが映画の題材になっています。
たぶん全くヒットしなかったので、
自分と同じようにこの映画を見たことある且つ、
いい映画だったと評価する人にいまだに会ったことがありません笑
最初は戦士にナメられていた若きアラモ守備隊司令官のトラヴィス。
そしてトラヴィスと軋轢があったものの、
だんだんと彼の志や勇気に一目置き始める民兵のリーダー、ボウイが最後となる会話をする場面があります。
ボウイはカリスマ性はすごいのですがお酒ばかり飲んでいて、
さらにアラモ砦に立てこもる中で結核になり、
戦闘に参加するどころかほとんど動けないところまで弱ってしまいます。
トラヴィスはいくら援軍要請をしても援軍が来ず、
状況が絶望的であることを中の兵に伝えるスピーチをします。
そんな、皆にとっての最期のときが迫る中、ふたりは会話を交わします。
トラヴィス:We could try to get you out with an escort.
If you're captured, perhaps, given
your condition, mercy would be extended.
(1人付けて君が脱出できるようにしよう。
もし捕まっても君の病状からするに、
慈悲をかけてもらえるだろう。)
ボウイ:I don't deserve mercy.
I do deserve a drink.
- You got anything stronger than water?
(慈悲なんていらない。
必要なのは酒だけだ。
お前は飲むのかい?)
トラヴィス:- I don't drink, Jim. You know that.
I gamble, go to whores, run off on wives.
But drinkin'...
I draw the line.
(酒は飲まない。知ってるだろ?
賭け事、女遊び、妻も泣かせたが、
酒だけは一線を引いたんだ。)
ボウイ:You know, you live another five years,
you just might be a great man.
(お前はあと5年だけでも生きられたら、
偉大な男になっていただろう。)
トラヴィス:I think I will probably have to settle
for what I am now.
(今の自分で納得することにするよ。)
ボウイ:Buck...Did it matter?
(坊や、、それは大変だったかい?)
トラヴィス:I'll see about fetchin' you a bottle.
(酒を持ってこさせるよ。)
このボウイのDid it matter?のitが何を指すのか、
この映画を初めて見た時から悩んでいます。
たぶん数日以内に自分たちは皆死ぬ。
酒を飲むか控えるかはこの期に及んで関係ない。
といった意味を包含しているとは思いますが、
難しいです。
上記の自分で訳してみたものも、「それは大変だったかい」なんて会話として変ですが、
代案も思いつきません。
ちなみにDVDの字幕は、短い一言。
「運命だよ」
とだけ訳してありました。
短い字数でなければならないという制約もありますが、
もとは質問なのに「運命だよ」の一言で意味を伝えるのには感服しました。
字幕の翻訳の奥深さに自分が初めて触れた作品かもしれません。
世界史にちょっとでも興味のある方は、この埋もれてしまっている「アラモ」
おすすめです。