倉敷市 塾 AEI若竹塾 寺西ブログ#2
2022/06/10
最近の授業の中で登場した英単語に
”earn”というものがあります。
「稼ぐ」という意味が出れば○ですが、
ちょっと深堀りしてみたいと思います。
1944年、第2次世界大戦中、米軍を中心とした連合軍が
フランスのノルマンディーに上陸し、ナチスドイツに反攻する作戦が行われました。
映画「プライベート・ライアン」はこの史実が題材になっています。
4人兄弟の上から3人が戦死した、末っ子のマット・デイモン演じるライアン二等兵も、
ナチスドイツ占領下のフランスに侵入して危険な作戦についています。
4兄弟が全滅するという想像を絶する悲しみから母親を救うために、
トム・ハンクス演じるミラー大尉に軍上層部から命令が下り、
小隊を率いてライアン二等兵の救出に向かいます。
しかしどこにいるかも分からないライアン二等兵の救出に向かう中、
ひとり、またひとりとミラー大尉の小隊から戦死者がでて、
隊員の一人も「俺達にだってママがいる」とこぼします。
仲間の兵と橋の防衛任務をこなしているところを見つかったライアン二等兵も、
このジレンマに苦しみます。
映画のラスト、ドイツ軍との熾烈な戦闘の末にミラー大尉も銃弾を受け、
戦場の真っ只中でまさに息を引き取る直前、ライアン二等兵に言葉をかけます。
それがこのセリフです。
“earn this. earn it.”
まさかここで「お金稼げよ」ではありません。
ロングマン英英辞典にはearnの意味として以下の説明が載っています。
to do something or have qualities that make you deserve something
つまりearnには単にお金を稼ぐというのではなく、
なんらかの報酬に対し、正当な対価となることを行い、その報酬を受けるに値する人間となる
という意味があるようです。
我々の命を犠牲にしてこれからライアン二等兵は祖国へ、母親のもとへ帰れる。
ある意味これは「前払いの報酬」で、これから充実した余生を過ごすことで、
対価としてふさわしい人間でありなさいということでしょう。
おじいさんになったライアン二等兵がミラー大尉の墓前で妻に、
「自分は良い人間だったかな」と泣きながら問いかけるシーンは胸に迫るものがあります。